なんくるないさぁ~居酒屋の歴史~

なんくるないさぁ~居酒屋の歴史~

皆さんこんにちは!

ゆくいどぅくまなんくるないさぁ、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

~居酒屋の歴史~

 

1. 居酒屋の起源:江戸時代の「居続け酒」

居酒屋という言葉が初めて文献に登場するのは江戸時代中期とされています。当時、酒は「酒屋」で販売されていましたが、本来は持ち帰り(量り売り)が主流で、その場で飲むことは想定されていませんでした。

しかし、ある時期から客が「ちょっとその場で飲ませてくれ」と頼み、酒屋の軒先で酒を飲むようになります。これが「居続け酒(いつづけざけ)」と呼ばれる習慣です。このスタイルが徐々に広まり、やがて「酒屋の中で腰を据えて飲む」ことが定着し、現在の居酒屋の原型となっていきました。

この「居る(その場にとどまる)」という行為と「酒屋」が合わさって「居酒屋」という言葉が誕生したのです。


2. 江戸庶民の社交場としての居酒屋

江戸時代の後期になると、町人文化が発展し、庶民の娯楽や社交の場としての居酒屋の重要性が増していきます。小皿料理とともに燗酒を提供するスタイルが人気となり、職人や商人、旅人たちが立ち寄る憩いの場としてにぎわいを見せました。

この時代の居酒屋には、現在のようなメニューはなく、「煮込み」「焼き物」「漬物」などの簡単な肴(さかな)が主でした。座敷やカウンターといった空間も徐々に整備され、「気軽に一杯」文化が形づくられていきます。


3. 明治〜昭和初期:居酒屋の近代化

明治時代になると、西洋文化の流入とともに、日本の飲酒文化にも変化が現れます。ビールやウイスキーの登場により、飲み物のバリエーションが広がり、居酒屋も和洋折衷のメニューを取り入れるようになっていきました。

また、女性が店主を務める「女将(おかみ)」文化も根付いていき、地域密着型の個人経営居酒屋が増加します。昭和初期になると「赤提灯」と呼ばれる簡易な居酒屋が都市部に広がり、戦後の復興期にはサラリーマン文化とともに、再び居酒屋が市民の憩いの場として脚光を浴びるようになります。


4. 現代の居酒屋:チェーン展開と多様化

1990年代以降、居酒屋業界は大きな変革期を迎えます。「和民」「白木屋」「鳥貴族」などの大手チェーンが全国展開し、低価格・均一料金・メニューの多様化により、若者や女性客も取り込む形で大衆居酒屋文化が成熟していきました。

一方で、個人経営の「こだわり系」居酒屋や、昭和レトロを再現した空間演出を行う店舗なども人気を集め、「懐かしさ」と「新しさ」が共存する形で現代の居酒屋文化は進化しています。

さらに、2020年以降の新型コロナウイルスの影響で「オンライン居酒屋」「個室型」や「テイクアウト居酒屋」といった新たなスタイルも生まれ、時代に即した柔軟な形で変化を続けています。


5. 居酒屋が映し出す日本人の心

居酒屋は、単なる飲食の場ではなく、日本人の「間(ま)」や「和(わ)」の文化、集団とのつながり、語らい、息抜きといった精神性が反映された空間です。ときに店主との会話に癒され、ときに見知らぬ隣人との出会いが心を温める――そんな居酒屋の在り方は、日本社会における人と人との距離感を象徴しています。


変わり続けるけど、変わらない場所

どれだけ時代が変わっても、人々が一杯の酒を酌み交わし、心の距離を縮める居酒屋という場の本質は変わりません。これからも、居酒屋は日本人の心を映す鏡として、文化とともに歩み続けることでしょう。